企業内保育所とは、自社で働く従業員が、企業内もしくは隣接した場所に子どもを預けられる施設です。通常の保育園とは異なり、企業の事業形態に合わせて開園時間やサービス内容を変更できるため、従業員の育児と仕事の両立を支援できます。
本記事では、企業内保育所と一般的な保育施設との違いや、特徴、種類について解説します。企業内保育所をスムーズに開設・運営するための委託サービスについても紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
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企業内保育所とは?
企業内保育所とは、企業が従業員の子どもを預かるために設置する保育施設です。
企業内保育所は、従業員が安心して仕事に取り組める環境を提供し、子育てと仕事の両立を支援することを目的としています。一般的には、企業の敷地内、もしくは企業に併設される場合が多いです。
近年では、育児と仕事の両立を支援するワークライフバランスの観点から、企業内保育所の需要が高まっています。特に、保育施設の不足や待機児童問題が深刻化している地域で働く人にとっては、企業内保育所の存在は就職先を決めるひとつの要因です。
企業内保育所と一般的な保育園の2つの違い
企業内保育所は、企業が自社で働く従業員のために設置する保育施設であるため、一般的な保育施設と異なる点がいくつか存在します。企業内保育所と一般的な保育施設の違いは以下の2点です。
- 企業時間に合わせて開園できる
- 異年齢保育のケースが多い
順番に見ていきましょう。
企業時間に合わせて開園できる
種類 | 開園時間 |
企業内保育所 | 企業の勤務時間に合わせている |
一般的な保育園 | 朝8時から夕方6時までなどで固定 |
企業内保育所の最大の特徴は、企業の勤務時間に合わせて柔軟に開園時間を設定できることです。従業員が勤務する時間に合わせて開園・閉園時間を設定できるため、残業や、夜間勤務がある場合でも対応できます。
一般的な保育施設では朝8時から夕方6時までといった固定の開園時間が決められています。一方、企業内保育所では、従業員の勤務時間に合わせ、早朝から夜間まで対応可能です。
開園時間の柔軟性は、親が働く時間帯に合わせて子どもを預けられるため、育児と仕事の両立に貢献しています。
異年齢保育のケースが多い
種類 | 保育方法 |
企業内保育所 | 異年齢保育が多い |
一般的な保育園 | 年齢ごとにクラス分け |
企業内保育所では、一般的な保育施設とは異なり、異なる年齢の子どもたちが一緒に保育を受ける「異年齢保育」が一般的です。企業規模によっては大人数になることもあるため一概にはいえませんが、小規模な場合は異年齢保育になるケースが多くなっています。
異年齢保育では、年齢の異なる子どもたちが接することで、「思いやり」や「社会性」を育み、コミュニケーション能力の向上も期待できます。
企業内保育所の制度ごとの種類3選
企業内保育所は、法律や自治体の制度によって、以下の3つに分けられます。
順番に見ていきましょう。
認可外保育園
認可外保育園は、認可外保育施設指導監督基準に基づき設置され、自治体へ届出を行っている保育施設です。企業内保育所を導入する場合、認可外保育園として運営するケースが一般的です。
認可外保育園は、保育の必要性に関係なく、保育を希望する全ての子どもを受け入れられます。また、認可保育園と異なり、個人や法人が自由に設置できるため、設置手続きが比較的簡単です。
ただし、認可外保育園は、公的な補助金を受け取れないケースがほとんどです。そのため、設置する企業の費用負担が大きくなる点に注意が必要です。
企業主導型保育園
企業主導型保育園は、政府が推奨する制度の一環として、企業が主導して設置する保育施設です。事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として、平成28年度に創設されました。
企業主導型保育園は、企業のニーズに応じて開所時間や曜日を自由に設定できるため、従業員の多様な働き方に対応しやすいです。また、認可保育園と同等の補助金を受けられるため、運営コストを抑えつつ、従業員が利用しやすい料金を設定できます。
ただし、令和4年に内閣府から公表された「今後の企業主導型保育事業の募集等について」で、企業主導型保育事業の新規募集は終了しています。
事業所内保育事業
事業所内保育事業は、企業が自社の従業員の子どもを対象に設置する認可保育園です。事業所内保育事業は、企業の敷地内や近辺に設置されるため、従業員の利便性が高いことが特徴です。
事業所内保育事業は、認可保育園であるため、自治体が定めた一定の基準を満たして認可を受ける必要があります。また、認可保育園にあたるため、公的な補助金を受けとることが可能です。
ただし、認可外保育園と異なり、受け入れ基準や開園時間などに制約があるため、入園者数の確保が難しいデメリットがあります。
企業内保育所の4つの運営タイプ
企業内保育所は、以下の4つの運営タイプに分類されます。
運営タイプ | 運営主体 | 概要 |
単独利用型 | 1社のみ | 企業が自社従業員向けに設置する保育所 |
地域開放型 | 1社(+地域住民の受け入れあり) | 企業が設置し、従業員の子どもと地域の子どもを受け入れる保育所 |
共同利用型 | 1社(+他企業の従業員の受け入れあり) | 企業が設置し、周辺の他企業の従業員の子どもも受け入れる保育所 |
共同設置型 | 複数企業 | 複数企業が共同で設置し、従業員の子どもを受け入れる保育所 |
各運営タイプの特徴と違いを理解し、自社に最適な運営スタイルを選択することが大切です。それぞれの運営タイプについて順番に見ていきましょう。
単独利用型
単独利用型は、1つの企業が自社の従業員だけを対象に保育所を設置する運営タイプです。単独利用型の特徴は、企業の従業員専用のため、利用者が限定されていること。利用者が限定されているため、企業のニーズに特化した保育サービスを提供できます。
単独利用型の保育所は、企業の勤務時間に合わせた柔軟な運営や、従業員の福利厚生の一環として運営されるケースが多いです。ただし、単独利用型の注意点として運営コストが高くなる点が挙げられます。そのため、十分な資金計画と、利用者がどの程度見込めるかの事前調査が重要です。
地域開放型
地域開放型は、企業の従業員だけでなく、地域住民の子どもも受け入れる運営タイプの保育所です。地域開放型の保育所は、地域貢献を目的としており、地域の待機児童問題解消などへの貢献が期待されます。
地域開放型の保育所の特徴は、地域の子どもを受け入れることで園児数が増え、子ども同士のコミュニケーションが活発になる点、様々なカリキュラムを実施できる点です。地域の保育所ニーズに応えられるため、企業の社会的評価を高める効果も期待できます。
一方で、従業員以外の利用者が増えるため、施設の定員管理や、保育スタッフの配置などに配慮が必要です。また、地域開放型の保育所を設置する場合でも、企業の従業員の利用が優先される運営方針の設定が求められます。
共同利用型
共同利用型は、企業が設置した保育所を周辺企業の従業員も共同で利用する運営タイプです。
共同利用型の特徴は、複数企業で企業内保育所の設置・運営にかかる費用を分担できる点です。そのため、中小企業やスタートアップ企業でも企業内保育所を導入しやすくなります。また、複数の企業が利用するため、利用率が高まりやすく、効率的な運営が可能です。
ただし、複数の企業が関与するため、運営方針や利用ルールを統一するのが難しい点は、デメリットと言えます。
共同設置型
共同設置型は、複数企業が共同で設置・運営するタイプです。
共同設置型のメリットも共同利用型と同様で、複数企業で企業内保育所の設置・運営にかかる費用を分担できる点です。
ただし、複数の企業が関与するため、運営方針や利用ルールを統一するのが難しい点は、共同利用型と同様にデメリットとなります。
企業内保育所を設置するメリット
企業内保育所を設置するメリットは、以下の3つです。
- 人材確保につながる
- 離職率の低下に貢献する
- 社会的イメージが向上する
順番に見ていきましょう。
人材確保につながる
企業内保育所を設置すると、子育て中の優秀な人材を確保する効果が期待できます。20〜30代で働く意欲はあるものの、保育園に入れなかったり、預ける時間が合わなかったりする都合で、フルタイムでの仕事をできていない人が多数いるのが現状です。
特に、保育施設が不足している地域では、子育ての問題で働けていない人が多く存在します。企業内保育所を設置すると、子育てを理由に働けていなかった優秀な人材確保が可能です。
また、保育所を利用できる環境が整っていると、他社との差別化が図れ、優秀な人材の確保も期待できます。
離職率の低下に貢献する
企業内保育所の設置は、従業員の離職率の低下にも貢献します。子育てと仕事を両立するために、現在の仕事を辞める人は多いです。
企業内保育所を設置することで、子どもを近くに預けられるため、育児による離職を防ぐ効果が期待できます。また、産休や育児休暇からの職場復帰がスムーズになり、経験豊富な従業員の長期間雇用にもつながるでしょう。
社会的イメージが向上する
社会的イメージの向上も、企業内保育所を設置するメリットの1つです。企業内保育所の設置は、福利厚生の向上だけでなく、社会貢献に取り組んでいるアピールになります。
特に、子育て支援や少子化対策に取り組む姿勢は、取引先や求職者、地域社会からの信頼を高める要因となるでしょう。事実、令和5年子ども・子育て支援調査研究事業で公表されている資料によると、多くの自治体が、企業内保育所の有用性・必要性について認識しています。
企業内保育所のアピールにより、企業のブランドイメージが向上し、採用活動や事業活動にも良い影響が期待できます。
企業内保育所を立ち上げるまでの流れ5STEP
企業内保育所を設置するためには、事前の計画や手続きが必要になります。企業内保育所を立ち上げるまでに必要な手順は、次の5STEPです。
- 利用者ニーズの把握
- 設置要件・設置場所の確認
- 設置・運営方法の検討
- 開所準備・自治体への届出
- 申請・開所準備
順番に見ていきましょう。
利用者ニーズの把握
企業内保育所の設置を検討する際は、まず社内の利用者ニーズを把握しましょう。企業側が保育所を設置しても、実際には入園者数が集まらず、苦労するケースが多いからです。
具体的には、従業員にアンケートやヒアリングを実施し、利用希望者数や、年齢構成、求められる保育サービスを明確にします。
例えば、夜間保育が必要という意見が多ければ、運営計画に反映させることが大切です。また、地域開放型の保育所を検討している場合は、地域住民の意見も取り入れましょう。
設置要件・設置場所の確認
利用者ニーズを把握した後は、設置要件を確認します。
企業内保育所の運営形態として多い「認可外保育園」でも、一定の設置要件を満たす必要があります。また、自治体が定める条件や補助金を受け取る場合は、施設の広さや設備、保育士の配置基準などに関する要件を把握しておきましょう。
その後、保育園を設置する場所を決定します。既存建物内に設置する場合も、改装工事が必要な場合があります。
具体的な要件は、自治体によって異なります。そのため、設置を検討する自治体の担当窓口に相談するのがおすすめです。
設置・運営方法の検討
設置要件を確認した後、具体的な設置・運営方法の検討を行います。企業・利用者のニーズに合わせ、運営委託・直営、単独利用型・地域開放型など、自社に最適な運営方法を選択します。
また、予算計画や、運営にかかるコストの見積もりも大切です。特に、自治体の助成金を利用する場合は、利用基準等の確認も行います。
自治体への相談・申し込み
自治体から助成金や補助金を受けられる場合は、早めに担当窓口に相談するのがおすすめです。
また、自治体への相談を通して、地域住民や周辺環境への配慮についてのアドバイスを受けられます。自治体は、保育所設置に関する規制や支援制度の情報を提供してくれる重要なパートナーです。自治体との連携を取りつつ、必要な手続きを進めましょう
開所準備・自治体への届出
保育所の改装工事や備品購入、運営体制を整えます。新築で建屋から建てる場合は、工期が長くなる場合があるので余裕を見ておくことが必要です。また、定員や受け入れ年齢を考慮し、保育備品を選定・購入する必要があります。
企業内保育所設置には、自治体ごとの基準があるため事前相談が必要です。企業内保育所の設置に当たって不安がある方は、ぜひ一度タスク・フォースにご相談ください。企業内保育園の設置から運営まで、すべてサポートできる実績と体制が整っています。
企業内に保育所を立ち上げるなら運営委託がおすすめ
企業内保育所とは、自社の従業員のための保育施設です。企業内保育所を導入することで、人材確保や、離職率の低下など多くのメリットが期待できます。ただし、企業内保育所の立ち上げには、さまざまな施設基準の理解や、自治体への申請など多くの負担が生じます。
そのため、企業内保育所の立ち上げには、運営委託ができるサービスの活用がおすすめです。タスク・フォースでは、委託事業で約60園の病院内・事業所内保育所の運営に携わっている実績をもとに、貴社に最適な運用方法のご提案やサービスを提供可能です。
企業内保育園の設置を検討している方は、ぜひ一度タスク・フォースにご相談ください。