院内保育所や企業内保育所の「学童預かり」とは、保育所よりさらに上の年齢の子ども(小学生)を預かる事業のことです。
学童預かりを導入することで、従業員の仕事と育児の両立を幅広くサポートし、優秀な人材の確保・定着につながります。しかし、学童預かりの運営に関する基準や法例は少なく、導入するには「どのくらいの資金が必要なのか?」「どう運営すればいいのか?」わからない方は多いです。
そこで本記事では、学童保育の導入方法や必要な資金、運営のポイントまで網羅的に解説します。本記事を読むことで、学童保育のスムーズな開設・運営に必要な知識が身につきます。ぜひ最後までお読みください。
なお、学童保育の導入を検討している方は、ぜひ一度タスク・フォースへご相談ください。実際に学童保育を行っている立場から、導入や運営に関するサポートを提供しています。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下のリンクから確認してみてください。
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院内保育所・企業内保育所の学童預かりとは?
学童保育(学童預かり)とは、親が仕事や疾病などの理由で昼間家庭にいない小学生を、放課後や学校休業日に預かる事業のことです。
通常、小学校1年生から6年生までの児童を対象とし、安全な環境のもとで宿題や遊び、生活指導などを行いながら、子どもたちが安心して過ごせる場を提供します。
公的な学童保育は、各市町村の条例や国の「放課後児童クラブ運営指針」に基づいて運営されますが、院内保育所や企業内保育所で学童預かりを行う場合は、認可外保育施設として必要な基準を満たす形で実施します。
院内保育所・企業内保育所の学童預かりと一般学童保育の違い
院内保育所・企業内保育所の学童預かりと一般学童預かりには、以下の違いがあります。
| 企業内・院内保育所の学童預かり | 一般学童保育 |
利用対象 | 勤務先の従業員の子ども | 地域の小学生 |
開所時間 | 企業・病院の勤務形態に合わせて柔軟に調整 | 平日の放課後~夕方まで(17~18時頃) |
設置目的 | 従業員の仕事と育児の両立支援 | 地域児童の居場所確保・健全育成 |
院内保育所や企業内保育所の学童保育は、従業員の支援を目的としているため、一般学童保育と比較して、開所時間が長くなったり、遅くまで開いていたりします。
企業や病院で働く従業員向けに最適化された運営が、一般学童保育との大きな違いです。
院内保育所・企業内保育所の学童預かりを導入するメリット3つ
院内保育所や企業内保育所で学童保育を導入するメリットは、主に以下の3つです。
- 職員が仕事と育児を両立しやすくなる
- 社内スペースの有効活用につながる
- 医療機関や企業のイメージアップ
順番に解説します。
1. 職員が仕事と育児を両立しやすくなる
学童預かりを導入すると、職員は子どもの放課後や長期休暇中の預け先に悩むことが減り、安心して働けます。
特にシフト勤務や夜間勤務が必要な職場は、一般的な学童保育では対応が難しい場合もあります。しかし、企業や病院が独自に運営することで、より柔軟な対応が可能です。
育児との両立がしやすくなった結果、離職率の低下や人材の定着につながり、長期的に優秀な人材を確保できます。
2. 社内スペースの有効活用につながる
学童預かりは、新たに大規模な施設を建設しなくても、既存の院内保育所や企業内託児所の空きスペースなどを活用して運営できます。
例えば、夕方以降に未就学児の利用が減る保育室や、普段使われていない会議室や研修室を学童ルームに転用すると、施設を有効に活用できます。
すでに保育施設を所有している場合は、保育スタッフの勤務時間を調整することで、コストを抑えつつ効率的な運営が可能です。
3. 医療機関や企業のイメージアップ
学童預かりを導入すると、従業員の子育て支援に積極的な医療機関・企業として高く評価され、組織のブランドイメージ向上にもつながります。
子どもをもつ共働き世代にとって学童保育が福利厚生として用意されているのは、魅力的な求人です。採用できる人材の幅が広がるため、優秀な人材に就職してもらえる可能性が高まります。
さらに、地域社会からの信頼を得るとともに、企業の社会貢献活動としても評価されるため、社会的な評価も高められるでしょう。
院内保育所・企業内保育所の学童預かりを設置する基準
院内保育所や企業内保育所で学童預かりを設置する際は、明確な基準はないものの、放課後児童健全育成事業の基準に従うことが望ましいです。
学童預かりを運営するにあたって、以下の基準をおさえておきましょう。
ここでは、それぞれの基準を詳しく解説していきます。
職員の資格と人数
民間学童保育を開業する際に、必須資格はありませんが、保護者の安心感を高めるために多くの施設で有資格者の配置が推奨されます。
具体的には、以下の資格を持つスタッフを配置するケースが多いです。
- 放課後児童支援員
- 保育士
- 幼稚園教諭
- 看護師 など
放課後児童健全育成事業では、子ども40人に対して2人の「放課後児童支援員」を配置することが基準とされています(うち1人は補助員でも可)。安全で質の高い学童保育を提供するためにも、施設の規模や運営方針に応じて、適切な人員配置を検討しましょう。
施設の面積
学童保育を運営する基準として、児童1人につき1.65㎡以上の専用区画が求められます。学童保育は単なる預かり場所ではなく、遊びや学び、教育を含む生活の場としての機能を備える必要があるため、子どもがのびのびと過ごせる環境を整えることが重要です。
なお、支援活動や運営に支障がない範囲であれば、この基準を下回る場合でも問題はないとされています。しかし、子どもが快適に過ごせる環境を確保するために、できる限り十分なスペースの確保が望ましいです。
開所日数
放課後児童健全育成事業の基準では、学童保育の開所日数や時間について、以下の基準が定められています。
- 年間250日以上
- 平日3時間以上
- 休日や長期休暇中は8時間以上
院内保育所や企業内保育所の学童預かりでは、職員のシフトに合わせた柔軟な運営が求められます。早朝や夜間の開所も必要なケースがあり、特に医療機関では24時間対応の学童保育を実施する場合もあります。
院内保育所・企業内保育所の学童保育開設に必要な資金
学童保育を新規開設するには、施設整備や備品購入にまとまった資金が必要です。初期費用は物件取得費・改装工事費・遊具や家具の購入費を含め、約1,500〜2,000万円以上かかるとされています。
内訳と運営にかかる費用は以下のとおりです。
- 建物:テナント物件なら内装工事や備品で数百万円、新設する場合は数千万円
- ランニングコスト:スタッフ2〜3人の人件費として年間約600〜900万円
- 光熱水道費や消耗品費などの運営経費として年間数百万円
ただし、既存で運営している認可外保育所を利用する場合は、費用をかけずに開設できます。ランニングコストに関しても、保育所と同じ設備を使ったり、同じスタッフに働いてもらったりすれば、追加の費用もかかりません。
学童保育の開設に利用可能な補助金
国や自治体には、事業所内での保育・学童事業を支援するための補助制度が設けられています。
主に以下の補助金を活用可能です。
- 放課後児童健全育成事業費補助金(厚生労働省)
- 事業所内保育施設設置・運営等支援助成金(厚労省雇用均等助成金)
- 自治体独自の助成制度
民間学童保育では自治体の補助金が中心ですが、補助金の有無や支給額は自治体ごとに異なるため、事前に自治体の制度を確認しておきましょう。
学童保育の導入にあたって、費用面で不安を感じている方は、ぜひ一度タスク・フォースにご相談ください。既存のスペースやスタッフを活用して、運営コストを削減する方法を提案しています。タスク・フォースの詳細が知りたい方や、実際に相談してみたい方は、以下のリンクからご確認ください。
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院内保育所・企業内保育所の学童預かりを運営する2つの方法
学童預かりを運営する方法は、「直営」と「運営委託」の2つです。
運営方法 | 特徴 |
自社運営 | ・自社の企業文化に沿った運営ができる・人件費は直接支払う分だけで済む・採用や教育などをすべて行うため、手間がかかる |
外部委託 | ・スタッフの採用・配置や日々の保育運営をプロに任せられる・運営にかかる手間を大幅に削減できる・運営コスト以外に、委託費用が別途かかる |
それぞれの特徴を理解し、自社に合った運営方式を選びましょう。
直営
直営は、自社で学童保育を運営し、管理やスタッフの採用・教育まですべて社内で行う方法です。直営の場合は、外部委託の費用がかからず、自社のニーズに合わせて柔軟な運営ができる点がメリットです。
しかし、運営や人材管理に手間がかかる上、学童保育に関する知識が不足していると、結果的に労力やコストが増える可能性もあります。直営で運営する場合は、事前に学童保育に関する知識を深めたり、専門家のアドバイスを受けることが、運営を円滑に進めるポイントです。
運営委託
運営委託は、学童保育の運営を専門の保育運営企業に任せる方法で、保育経験が豊富な専門家に運営を委託できます。運営を委託すると、企業は管理負担を軽減し、運営にかかる手間を省ける点が大きなメリットです。
企業が運営に関わらなくても、質の高い学童保育を提供できますが、コスト面や運営方針に関しては、外部委託の制約を考慮する必要があります。事前に具体的なニーズや予算、運営方針を明確にして、自社に最適な運営方式を選びましょう。
学童預かり導入の流れ4ステップ
学童預かりを導入する流れは、以下の4ステップです。
- 利用ニーズの把握
- 設置方法や運営形態の検討
- 設備の準備やスタッフの採用
- 自治体への相談・申し込み
学童預かりをスムーズに導入するには、計画的な準備が重要です。
1.利用ニーズの把握
まずは、学童保育を必要とする利用者のニーズを把握します。
アンケートで、職員の子どもの年齢層や、放課後や長期休暇中の預かり時間に対するニーズを調査することで、需要の規模を予測し、必要なリソースを適切に準備できます。
もし、利用ニーズが少ない場合は赤字になる可能性もあるため、運営に必要なコストと利益のバランスを慎重に判断しましょう。
2.設置方法や運営形態の検討
次に、学童保育を「直営」か「運営委託」のどちらで運営するかを検討します。
施設の規模や提供するサービス内容も合わせて計画し、職員のシフトや子どもへのサポート方法も考慮することが大切です。
直営はコストを抑えられる点がメリットですが、委託にすると運営の手間を省き、質の高い保育を提供できます。運営コストやスタッフの負担、必要な専門知識も考慮して、最適な運営方法を検討しましょう。
3.設備の準備やスタッフの採用
次に、施設の安全面や運営に必要な設備を整えます。
避難経路や消火器の設置など、安全対策を確認したうえで、学童に必要な教材や遊具、学習スペースを準備しましょう。また保育スタッフや学童指導員の採用だけでなく、事務担当者や衛生管理スタッフなどのサポートスタッフの採用も重要です。
学童保育の運営に携わる全ての人員が連携して、子どもたちの安全と成長をサポートできる環境を整えましょう。
4.自治体への相談・申し込み
学童保育を実施するには、自治体への申請が必要です。
設置に必要な許可や補助金の申請を行い、地域のニーズや規制に関する情報を収集しましょう。
事前に自治体の担当者に相談して、必要な書類や条件を確認しておくと、スムーズに開設手続きが進行します。自治体の指導や助言を受けることで、運営に必要な支援やアドバイスが得られます。
院内保育所・企業内保育所の学童預かりの運営委託はタスク・フォースがおすすめ
学童保育の運営にはノウハウが必要であり、開設には計画的な準備が必要です。
タスク・フォースでは、企業や医療機関向けに院内・企業内保育施設の開設支援を行い、イベント保育や派遣サービスの提案など、法人向けのコンサルティングもしています。
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