院内保育所・企業内保育所は、自社で働く職員が仕事と育児を両立するうえで重要な施設です。院内保育所や企業内保育所を導入するためには、職員の配置基準や、施設の設置基準を満たさなければなりません。
そこで本記事では、院内保育所・企業内保育所の配置基準を詳しく紹介します。また、保育所設置に向けて注意すべきポイント、設置するまでの手続きも解説しているので、院内保育所や企業内保育所の設置を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、院内保育所や企業内保育所の導入をサポートして欲しい方は、ぜひタスク・フォースにご相談ください。タスク・フォースは、全国で約120園の保育所の運営に携わるなど、豊富な実績があります。基準を満たすためのコンサルティングや、委託運営サービスの提供など、幅広い支援を行っているので、一度以下のリンクから詳細を確認してみてください。
院内保育所・企業内保育所の配置基準
院内保育所・企業内保育所を導入するためには、職員の配置基準を満たす必要があります。認可外保育所として運営する場合、院内保育所と企業内保育所における職員の配置基準は以下のとおりです。
- 乳児(0歳児):3人に対して1人の保育スタッフ
- 1歳児から3歳未満:6人に対して1人の保育スタッフ
- 3歳児から4歳未満::20人に対して1人の保育スタッフ
- 4歳以上:30人に対して1人の保育スタッフ
参考:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
職員の資格に関して、配置する職員(保育スタッフ)の1/3以上が、保育士または看護師、准看護師の資格を持ち、常時2人以上配置されることが必須です。また、保育士以外の職員について明確な指定はありませんが、幼稚園教諭免許取得者や、都道府県等が実施している研修を受講している方が望ましいとされています。
補助金を受給できる配置基準
院内保育所や事業内保育所を、認可保育所である「事業所内保育事業」にして補助金を受給するためには、決められた人員の配置基準を満たす必要があります。条件は定員ごとに異なり、具体的な数は以下のとおりです。
定員20名以上の場合 | 必要な職員数(保育所の基準):・0歳児3人に対して1人・1・2歳児6人に対して1人※保育士資格を持っている必要あり(保健師、看護師または准看護師のみなし特例あり) |
定員20名未満の場合: | 必要な職員数:・小規模保育事業A型:保育所の配置基準+1名※保育士資格を持っている必要あり(保健師、看護師または准看護師のみなし特例あり) ・小規模保育事業B型:保育所の配置基準+1名※1/2以上が保育士の有資格者(保健師、看護師または准看護師のみなし特例あり)(保育士以外の職員には研修を実施する必要あり |
参考:厚生労働省「院内保育等の推進について」
院内保育所・企業内保育所の設置基準
院内保育所・企業内保育所の設置基準は以下のとおりです。
- 保育室、調理室、便所があること
- 保育室の1人当たりの面積が概ね1.65㎡以上であること
- 乳児の保育を行う場合は、幼児の保育を行う場所と別部屋にするか、同じ部屋の場合はフェンスなどで区画すること
- 保育室は、採光と換気が確保されていること
- 便所には手洗い設備があり、他の部屋から壁で区画されていること
- 便所の数はおおむね幼児20人につき1つ以上であること
- 消火用具、非常口、その他非常災害時の設備が設けられていること
これらの基準に加え、保育室が2階以上に設置する場合には避難用階段の設置が必要です。
補助金を受給できる設置基準
院内保育所・企業内保育所の導入、運営の際に補助金を受給するためには一定の設置基準を満たさなければなりません。また、設置基準は定員数によって異なります。
定員20名以上の場合:
保育室などの面積 | 0歳・1歳乳児室(1.65㎡/人)、ほふく室(3.3㎡/人)2歳以上保育室(1.98㎡/人) |
給食 | 自園調理で、調理室と調理員の配置が必要 |
定員20名未満の場合:
保育室などの面積 | 0歳・1歳乳児室・ほふく室(3.3㎡/人)2歳以上保育室(1.98㎡/人) |
給食 | 自園調理で、調理室と調理員の配置が必要*連携施設等からの搬入も可能 |
院内保育所や企業内保育所の配置基準を満たすのにかかるコスト
企業内保育所を設立する際にかかる費用の目安は、700万円~4,000万円です。主な費用の内訳には、人件費、工事費、設備費などがあります。
なかでも、人件費の負担が大きく、広告費など含めて、1人当たりの採用にかかる費用が40万円以上かかる場合も多いです。また、保育所を構える場所がない場合、新築するかリフォームするための工事費が必要です。工事費はリフォームの場合で、おおよそ300万円程度の費用がかかり、新築の場合はさらに高くなります。
そこで、配置基準を満たすための採用コストを削減したい方は、保育所の運営委託を検討してみてください。タスク・フォースが提供する院内保育所・企業内保育所の運営委託では、保育スタッフの採用から教育、実際の運用プログラムの作成まで、幅広い支援を提供しています。詳細が気になる方は、ぜひ以下のリンクから覗いてみてください。
院内保育所・企業内保育所の配置基準・設置基準を満たすためのポイント
院内保育所・企業内保育所の配置基準・設置基準を満たすためのポイントは以下の3つです。
- 保育スタッフが働きやすい環境を整備する
- 補助金や助成制度を活用する
- 外部委託を検討する
順番にみていきましょう。
保育スタッフが働きやすい環境を整備する
院内保育所や企業内保育所の配置基準を満たすためには、保育スタッフが働きやすい環境を整えることが重要です。
近年は、保育士の人材不足が問題となっています。特に、院内保育所は24時間保育を実施する保育所も多く、他の保育施設と比較して、保育スタッフの労働環境が過酷になりやすいです。
そのため、福利厚生の充実や手当金など、保育スタッフの魅力的な労働環境の整備が大切。他の保育所よりも魅力的な環境を提供できると、離職率の低下や採用率の向上につながります。
補助金や助成制度を活用する
院内保育所や企業内保育所の設置基準を満たすために、積極的に補助金や助成制度を活用しましょう。
補助金や助成制度は、国や地方自治体が提供するもので、保育所設置にかかる設備費用や運営費用の一部を支援してもらえます。特に、新たに院内保育所・企業内保育所を設立する場合、数千万円の初期費用が必要になるケースも多いです。また、保育所設置後も、消耗品や人件費などさまざまな運営費がかかります。
そのため、補助金や助成制度を活用し、少しでも保育所設置にかかる経済的負担を軽減しましょう。
外部委託を検討する
院内保育所や企業内保育所の配置基準・設置基準を満たすために、外部委託を検討することも有効な手段の1つです。
院内保育所や企業内保育所の設立には、さまざまな準備が必要です。特に、保育士をはじめとした人員の確保は、最も負担のかかる業務だといえます。開設時に限らず、運営している中でも人員の不足は問題になりやすいです。
そこで、運営の外部委託を活用すると、負担の大きい人員確保もまるっと代行でき、スムーズな人員確保が可能になります。タスク・フォースでは、保育スタッフの採用から教育、派遣までをすべて代行しています。
院内保育所や企業内保育所の開設にあたって、人員確保に困っている方は、ぜひ以下のリンクからご相談ください。
院内保育所・企業内保育所の導入で配置基準以外に押さえておきたいこと
院内保育所・企業内保育所を導入する際には人員の配置基準以外にも注意する必要があることがあります。配置基準以外に押さえておきたいことは以下の3点です。
- 運営・ビジネスモデルの設計
- 配置基準以外の法令遵守と安全管理
- 保育環境の質・教育プログラム
順番にみていきましょう。
運営・ビジネスモデルの設計
院内保育所・企業内保育所の導入には、綿密な運営・ビジネスモデルの設計が不可欠です。はじめに、社内のニーズ調査を行い、利用者数や希望する保育時間を把握します。また、保育所の利用者を従業員に限定するか、地域住民も受け入れるかの検討も大切です。
さらに長期的な運営を考慮して、園児数の増減を想定し、収支計画や、費用対効果を十分に確認するのが重要です。運営形態もこだわるポイントで、自社で直接運営するか、事業者に委託するのかを決定しましょう。
配置基準以外の法令遵守と安全管理
配置基準以外に法令の遵守と安全管理は、保育所運営には欠かせない重要な要素です。具体的には、以下の安全対策が求められます。
- 園児の健康状態の把握
- 定期的な健康診断の実施
- 危険物の排除
- 落下物の防止
- 施錠 など
特に、保育所を2階以上に設置する場合は、転落防止設備の設置や避難階段の確保など、児童福祉施設最低基準に適合していなければいけません。また、院内保育所の場合、感染症リスクや個人情報保護の観点から、設置場所の検討も必要です。
配置基準以外に、保育所設置に必要な建築基準や安全管理について確認しておきましょう。
保育環境の質・教育プログラム
保育環境の質と教育プログラムは、保育所運営にとって重要な要素です。保育スタッフに適切な労働環境を提供することが、保育環境の質の向上に直結します。
また、人員の確保だけでなく、教育プログラムの充実も重要です。特に、院内保育所では、夜間保育や24時間保育の実施など、一般的な保育施設とはことなるサービスが求められます。そのため、ニーズに合わせた教育プログラムの実施が大切です。
院内保育所・企業内保育所を設置するための手続き
院内保育所・企業内保育所を設置するための手続きは、以下の6つです。
- 院内・社内でニーズを調査する
- 設置方法を決める
- 運営方法の選定
- スケジュールを立てる
- 自治体への相談
- 設置場所・設備を決める
事前に必要な手続きを理解しておくことで、スムーズに保育所を設置・導入できます。順番に確認していきましょう。
院内・社内でニーズを調査する
院内保育所・企業内保育所を設置する際の第一歩は、職員のニーズを調査することです。具体的には、保育所の利用希望者数や、年齢別の子どもの人数、保育時間など求めるサービス内容などを調査します。
ニーズの調査には、アンケートの実施が効果的です。特別なケアが必要な子どもなどは別途ヒアリングを行いましょう。
設置方法を決める
ニーズを調査した後、保育施設の設置方法を決定します。設置方法には自社従業員専用の単独設置型や、他社と共同で設置する共同設置型などがあります。
また、認可外保育施設として運営するか、事業者内保育事業として運営するかなども検討するのが大切です。
運営方法の選定
保育所の運営を自院(または自社)で直接運営するか、外部の専門業者へ委託するのかを決定します。
大規模な病院や企業では、直接運営するケースもあります。ただし、さまざまな手続きや準備を全て自分たちで行うため大きな負担となることに注意が必要です。
一方、専門業者への委託のメリットは保育所の設置・運営に必要な手続きの手間が省ける点です。特に小規模な病院、企業では業務負担の軽減のため、専門業者への委託も有効な選択肢になります。
スケジュールを立てる
運営方法が決定したら、いつ頃から保育所を稼働させたいのか、大まかなスケジュールを決めます。開園時期は年度初めである4月に合わせるケースが多いです。
特に、人員の確保には時間がかかる場合が多いです。また、自治体などへの各種手続きや申請も必要になります。そのため、保育士の募集や研修、設備の整備、自治体への対応などスケジュールに余裕をもって計画的に進めていくことが大切です。
自治体への相談
保育所の設置には自治体の認可が必要です。保育行政を担当する自治体の部署を確認し、早めに相談します。
特に、認可外保育所である場合でも一定の設置基準をクリアする必要があるため、自治体との連携が欠かせません。また、助成金や補助金の申請についても相談し、情報を入手できます。
設置場所・設備を決める
最後に、保育所の設置場所・設備を決めます。設置場所は、従業員の利便性を考慮して選定するのが大切です。
設備については、建物の耐震性、避難経路、消防設備の確保など安全面での基準をクリアする必要があります。また、子どもの人数に応じた基準を満たさなければなりません。保育室の広さ、給食を提供する場合は、調理室や配膳設備など、細かい基準が設けられています。
院内保育所・企業内保育所の配置基準を満たすならタスク・フォースへ委託を
院内保育所・企業内保育所の導入には、職員の配置基準や、施設の設置基準を満たす必要があります。配置基準だけではなく、その他の法令を遵守し、安全管理を徹底することも重要です。
また、保育所の設置・運営にはさまざまな手続きが必要で、多くの人的・経済的負担が生じます。企業や病院の状況によっては、開設・運営の外部受託サービス利用を検討しましょう。
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