共働き世帯の増加に伴い、働く親の負担を軽減するための取り組みが進んでいます。その一つが、「手ぶら登園」 です。手ぶら登園を導入することで、保育スタッフの業務負担の軽減 や 保護者の利便性向上 など、多くのメリットがあります。
一方で、手ぶら登園の導入による費用負担や、導入時の課題も無視できません。
そこで本記事では、手ぶら登園の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。実際に手ぶら登園を取り入れている企業の具体例も紹介するので、導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、手ぶら登園を導入した保育所を設置・運営したい方は、ぜひ一度「タスク・フォース」にご相談ください。タスク・フォースは、運営している「都市型保育園ポポラー」で、2024年5月以降、全国約120園において、紙おむつとおしりふきのサブスクリプションサービス「手ぶら登園®」を導入しています。詳細が知りたい方や、導入について相談してみたい方は、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
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院内保育所・企業内保育所の手ぶら登園とは
手ぶら登園とは、企業内や院内保育所において、保護者が日々持参する荷物を最小限にできるよう、必要な育児用品を施設側が用意する仕組みです。提供される主な用品・サービスには、以下のようなものがあります。
- 紙おむつ・おしりふき
- 粉ミルク・哺乳瓶
- 食事・おやつ
- 日用品・衛生用品(食事エプロンなど)
- 寝具類の提供・洗濯
- 着替え衣類の洗濯
紙おむつやおしりふきの提供は一般的で、外部サービスを活用し、定額制のオプションとして利用できる施設もあります。また、一部の園では、料金が保育料に含まれていて追加料金なしで利用できる施設もあります。
院内保育所・企業内保育所で手ぶら登園を導入できる理由
院内保育所や企業内保育所で手ぶら登園を導入できる理由は、幅広い形でサービス提供されているからです。
保育所自体が導入しているケースだけでなく、保護者が個人で契約して、手ぶら登園を利用できます。
また、「手ぶら登園」の導入に際して、補助金や物品の提供をしている自治体も多いです。実際に、埼玉県・千葉県・東京都などの公立保育園では、自治体負担による「手ぶら保育」の導入が進められており、多くの施設で利用されています。2024年9月時点では、全国の108の自治体で導入されており、公立保育施設では780以上、私立を含めると5,100以上の施設で手ぶら登園が実施されています。
公的支援を活用することで、手ぶら登園は全国的に広がりを見せており、より多くの保護者が便利な保育サービスを利用できる環境が整えられています。
院内保育所・企業内保育所で手ぶら登園を導入する際の費用
ここでは、院内保育所や企業内保育所に手ぶら登園を導入する際の費用について解説します。
企業が負担する場合
企業が手ぶら登園サービスを導入する際の費用は、一般的に2,500円〜3,500円程度です。具体的な金額は、提供されるサービスの内容や契約する会社によって異なります。
また、自治体の補助金や助成制度を活用することで、企業側の負担を軽減できる場合もあり、一部の施設では無償で提供されるケースもあります。
保護者が負担する場合
保護者が手ぶら登園のサービスを利用する際の費用は、一般的に2,500円〜3,500円程度です。費用は提供されるサービスの内容によって変動し、オプションとして食事用の紙エプロンや寝具カバーを追加する場合は、別途料金が発生する場合があります。
また、一部の自治体では、この費用を全額補助する制度を設けており、対象となる家庭では実質無料でサービスを利用できる場合もあります。
院内保育所・企業内保育所に手ぶら登園を導入するメリット
手ぶら登園の導入は、保護者だけでなく、保育スタッフや企業側にも多くのメリットがあります。具体的には、以下の3つです。
- 保育スタッフの負担を軽減できる
- 保護者へのアピールにつながる
- 企業のイメージアップにつながる
順番に見ていきましょう。
保育スタッフの負担を軽減できる
手ぶら登園の導入により、保育スタッフの業務負担が大幅に軽減されます。従来、保育スタッフが行っていた作業のうち、削減できる具体例は以下のとおりです。
- 園児ごとにおむつやおしりふきの管理
- 在庫の確認と補充の依頼
- 着替え袋や貸し出し袋の受け渡し
- 保護者が持参する持ち物のチェック
手ぶら登園によって、細かな業務や日々の業務負担が減り、保育スタッフが子どもたちと向き合う時間を確保しやすくなります。結果的に、保育の品質向上や保護者からの良い評判につながるでしょう。
保護者へのアピールにつながる
手ぶら登園の導入は、育児負担の軽減ができるため、保護者へのアピールにつながります。特に、毎日の送り迎えで必要な荷物を準備する手間がなくなるため、忙しい朝の負担が軽減される点は、多くの保護者にとってメリットが大きいでしょう。
株式会社コドミーが行った調査では、保育園を利用する保護者の86%が「送り迎えの荷物が大変」と感じていることが明らかになっています。
さらに、両手が空くことで子どもと手をつないで登園できるようになり、親子のスキンシップの時間が増えるというメリットもあります。利便性の向上は、保護者の満足度を高め、結果として企業や保育施設への信頼にもつながるでしょう。
企業のイメージアップにつながる
手ぶら登園を導入すると、社員の子育て支援に積極的に取り組む企業として、社外への良いアピールにつながります。子育てと仕事の両立を支援する姿勢を示せば、企業の社会的評価が向上し、働きやすい環境を整えている企業としての信頼を高められるでしょう。
また、社内保育園の設置に加え、手ぶら登園を可能にすれば、より充実した福利厚生として他社との差別化が図れます。子育て支援の充実は、働く親にとって大きな魅力となるため、企業の採用力向上にもつながり、優秀な人材の確保が期待できるでしょう。
院内保育所・企業内保育所に手ぶら登園を導入するデメリット
手ぶら登園はさまざまなメリットがある一方で、押さえておくべきデメリットも存在します。具体的には、以下の2つです。
- 企業もしくは保護者の経済的負担が増える
- 導入初期に手間が生じる
順番に解説します。
企業もしくは保護者の経済的負担が増える
手ぶら登園を導入すると、おむつやミルク、クリーニング費用などの運営コストが発生します。これらの費用は、企業や保育所の運営者が負担するケースが多く、保育料に上乗せできない場合は、企業側の持ち出し費用が増加する可能性があります。
特に、企業が運営費を負担する形を取る場合、長期的なコスト管理が求められるため、財務面での慎重な検討が必要です。
また、サービスを利用する保護者の数が想定より少ない場合、導入にかかるコストに対して十分な効果を得ることが難しくなります。利用者が限定的であれば、企業や保育施設側の経済的な負担が増え、継続的な運用が課題となることも考えられます。そのため、導入前にはコスト負担のバランスや、利用者の見込みの分析が重要です。
導入初期に手間が生じる
手ぶら登園を導入すると、保育スタッフの業務内容が変化し、初期段階では一定の負担が生じます。運用が軌道に乗れば業務効率の向上が期待できますが、新しい仕組みに適応するまでの間は、不安を感じる保育スタッフも少なくありません。
特に、従来のやり方からの切り替えには、業務フローの見直しや役割分担の調整が必要です。園内の物品管理方法の確立や、保護者への周知・説明など、細かな準備も求められ、追加の作業負担が発生する可能性があります。そのため、導入時には人員配置や業務分担を工夫し、スムーズに移行できるようサポートすることが重要です。
院内保育所・企業内保育所で手ぶら登園を導入する際のポイント
院内保育所・企業内保育所で手ぶら登園を導入する際のポイントは5つあります。
- 導入コストと予算を確認する
- サービスの提供範囲を明確にする
- 収納するスペースや設備を確保する
- 規則・行政手続きを確認する
- 運営の仕組みを確立する
順番に見ていきましょう。
導入コストと予算を確認する
手ぶら登園を導入するには、事前にコストと予算を明確に把握することが重要です。おむつやミルク、寝具などの費用を試算し、保護者の負担にするのか、企業の負担にするのかを決める必要があります。特に、企業内保育所では福利厚生の一環として企業が費用を負担するケースも多く、長期的なコスト管理が求められます。
また、外部のサブスクリプションサービスを活用する場合、初期費用だけでなく、継続的なランニングコストとのバランスも慎重に検討することが大切です。自治体の助成金制度を活用できる可能性もあるため、補助金や支援制度の有無を事前に調べ、コスト負担を軽減する方法を検討しましょう。
手ぶら登園の導入にあたり、どのような予算計画を立てれば良いかわからない方は、ぜひタスク・フォースへご相談ください。「手ぶら登園」を導入している保育所を例に、必要な費用や期待できる効果を説明いたします。気になる方は、ぜひ以下のリンクから詳細を確認してみてください。
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サービスの提供範囲を明確にする
手ぶら登園を導入する際は、提供範囲を明確にすることが重要です。例えば、おむつやおしりふきの提供にとどめるのか、粉ミルクや食事、寝具、衣類の洗濯まで含めるのかで、必要な設備や運営コストが大きく変わります。そのため、導入前に提供内容を慎重に検討し、無理のない運用体制を整える必要があります。
サービスの範囲を明確にするには、保護者のニーズを事前に調査することが重要です。例えば共働き家庭が多い園では、衣類の洗濯サービスを導入することで利便性が向上し、保護者の負担軽減につながる可能性があります。一方で、全てのサービスを一律に導入するのではなく、必要なものに絞ることで、コストを抑えながら対応可能になります。
施設の運営方針や保護者の意向を考慮し、適切なサービス範囲を決定しましょう。
収納するスペースや設備を確保する
手ぶら登園を導入するためには、園内に必要な物品を適切に管理できる収納スペースを確保する必要があります。おむつやミルク、リネン類など、日常的に使用する育児用品を十分にストックできる環境を整えることで、スムーズな運営が可能です。
そのため、専用の収納棚やロッカーを設置し、種類ごとに管理しやすいシステムを構築しましょう。また、衣類や寝具の洗濯を行う場合は、洗濯機や乾燥機の設置場所を確保し、作業効率を考慮した運用計画を立てることが重要です。
限られたスペースを有効活用しながら、保育スタッフが管理しやすい環境を整えると、手ぶら登園のメリットを最大限に活かせます。
規則・行政手続きを確認する
企業内保育所や院内保育所で手ぶら登園を導入する際は、自治体や行政機関の規制を事前に確認しましょう。
院内・企業内保育園は「認可外保育所」として運営されるケースが多い一方、認可保育所として運営する場合は、保育料に含められるサービスや、追加費用を徴収できる範囲に制限があります。
また、衛生管理やアレルギー対応に関する基準をクリアする必要があるため、保育運営のガイドラインに従った対応を行いましょう。
運営の仕組みを確立する
手ぶら登園をスムーズに運用するには、導入後の管理体制をしっかり整えることが大切です。管理体制が整っていないと、おむつが足りなくなったり、誰にどの衣類を渡すのか間違えたりする可能性があるからです。
例えば、おむつやミルクの補充頻度、衣類の洗濯スケジュール、在庫管理の方法など、具体的なルールを決めておきましょう。また、保育スタッフや保護者に向けて、サービス内容や利用方法を周知することで、スムーズな運営につながります。
手ぶら登園を導入している企業の事例
ここでは、手ぶら登園を導入している企業の事例を紹介します。自社で導入する際の参考にしてみてください。
LINEヤフー
LINEヤフーは、2018年に本社内に設置した企業内保育所「HUTTE(ヒュッテ)」で手ぶら登園を導入しました。園内でおむつを用意する仕組みを整え、さらに洋服や布団の洗濯も保育所内で行うことで、保護者が荷物を持参する必要のない環境を実現しています。
もともと、同社では育休後の復職率が96.1%と高水準を維持していましたが、保育園の確保に苦労する社員が多いという課題がありました。そこで、社員の負担を軽減し、よりスムーズに職場復帰できるよう支援を強化する一環として、手ぶら登園の導入を決定。育児と仕事を両立しやすい環境づくりを推進しています。
GMOインターネットグループ
GMOインターネットグループは、2011年に開設した企業内託児所「キッズルームGMO Bears」において、手ぶら登園を支えるランドリーサービスを導入しています。園内で必要なタオルやおむつを完備し、洗濯まで行う体制を整備することで、保護者が日々の持ち物を準備する負担を軽減しています。
この取り組みにより、育児と仕事の両立がしやすい環境が整い、産後の女性のスムーズな社会復帰にも貢献。働く親が安心して子どもを預けられる環境を提供することで、企業としての子育て支援の充実にもつながっています。
ANAグループ
全日本空輸(ANA)は、シフト勤務の社員を支援するため、空港内に企業内保育園「‘OHANAほいくえん」を開設し、手ぶら登園の仕組みを導入しています。園内でおむつを用意し、洋服や布団の洗濯まで行うことで、保護者が登園時に荷物を持参する必要がない環境を整備。育児と仕事を両立しやすいサポート体制を構築しています。
この取り組みにより、「毎日おむつや着替えを持参しなくて済むので助かる」と保護者から高く評価されており、365日、7時〜22時まで開園する体制と相まって、働く親の負担軽減に大きく貢献しています。
手ぶら登園ができる院内保育所・企業内保育所の設置はタスク・フォースにお任せ
手ぶら登園の導入は、保護者の負担軽減や企業の子育て支援の強化につながる大きなメリットがあります。しかし、運営ノウハウやコスト管理、導入時の手続きなど、スムーズな運用には専門的な知識が必要です。
タスク・フォースでは、企業内・院内保育所の開設から運営まで、一貫したサポートを提供。保育園運営のプロフェッショナルとして、多くの企業・病院の導入を支援しています。
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